スタートアップにおけるUXの重要性
スタートアップにおけるUXの重要性
スタートアップが共通して抱えているUXの課題を教えてください。
スタートアップの初期段階で、ユーザエクスペリエンスの改善について相談を受けることがよくあります。
特にビジネスの価値がテクノロジーから生み出されるような場合は、一人目のデザイナーを採用するまでには1年以上経ってからとなることも多いと思いますが、チームにデザイナーがいなくても、UXを常に良くする責任は最初からチーム全員で持たないといけないと思っています。
例えばそれは、ユーザの行動を観察する術を学んで、プロダクトがユーザにもたらす価値を知ること。デザイナーだけでなく、チームが自分のお客さんに耳を傾けることを意識すれば、自ずとプロダクトが彼らに伝わる形でコミュニケーションできるようになってくると思います。
この考え方が浸透すればUXの意識の高いチームができます。プロダクトの成長につながるのはもちろん、後に採用するデザイナーも力を発揮しやすく、UXの課題を改善しやすいチームとなると思います。
日本のクライアントにUXをプレゼンする際に気をつけていることを教えてください。
これは日本のクライアントに限ったことではないですが、驚かさないプロセスが大事だと思っています。
プロダクトオーナーであるクライアントは、オペレーションや今後の改善は自らで行っていく前提で発注されることが多いので、今まで以上にコラボレーティブで継続的なプロセスになっていると思います。 デザインの問題点を理解し、情報を収集し、解決法を選択し、結果を検証する。これらを全て一緒に行っていきます。
大きい課題を解決できたり、細部の気の利いたデザインエレメントに気に入ってもらったときなどは、少しの驚きがあってもいいと思います。それが違った視点を持つ外部チームと協働する楽しみでもあるのですから。
でももしもクライアントが、我々がデザインしたものに対して、良くも悪くも大きなショックを受けたならば、ある意味で失敗だと思っています。それは、クライントがプロセスに十分に参加できていなかったということになるからです。
もし結果的にクライアントが納得できたとしても、前提としたユーザインサイトや考え方を理解していないのであれば、その後継続していくのは難しくなると思います。それを回避するためにも、驚かさないプロセスで共に段階的に発見していく方法を提案したいと思っています。
UX Days Tokyo 2015 に参加した感想と、2016 で期待しているスピーカーと内容について教えてください。
昨年は、UXに長年情熱を費やしてきた企業のリーダー達からUXデザインとリサーチの事例を学ぶよい機会となりました。今年は、ますます取り入れる案件が増えてきたデザインスプリントについて聞きたいので、Danielさんの登壇を期待しています。